2013年5月23日木曜日

宗教(学)が気になる人のためのガイド

圧倒的に私見にまみれています。
基本的な見通し、考えは「宗教と宗教学と、免疫のなさについて」(Togetter)にまとめてあります。

「けっ! 宗教なんて、そんな馬鹿げた不合理なもの信じてるやつが!」とか、「神は人間が頭の中で作った発明に過ぎない( ・´ー・`)」とか、「あんなもんで、殺しあってバカじゃね?」とか、そっち系統の宗教は基本バカにしてます型の人

あるいは

「いやー、ファンダメンタリズムとか、イスラームとかで、色々宗教とかって言われるし、(理解ある俺として)宗教って大事だよね。これからの時代」とか、「(自分は別に特定の宗教を信仰していないのに、自己忘却して)なんだかんだ言って、人類今まで宗教捨てられなかったわけだし、宗教って気になってるんだよね。人と人とを繋げる力でもあり、分かつ力でもあるわけじゃない?」とか、そっち系統の宗教に理解あります風の人、あるいは、不用意に興味持っちゃった人

この2系統の人に向けては、某『ふしぎなキリスト教』『やっぱりふしぎなキリスト教』(橋爪大三郎・大澤真幸)みたいな、思想・言論系の有名人・スーパースターが書いた「手っ取り早い本」を手にするのではなく、宗教学の教科書を読んでくれと言わせてください。
つまんないかもしれないけど、偏ったなりに全体を見渡せるくらいの足場は作った上で、そういうキワモノに行ってください。じゃないと、キワモノってことにも気付けませんから。


こういうのはゲハ戦争に似ている気がします。どうしたって、最初に知ったゲハっていうのはやっぱりどうしても大きいわけです。
冷静に考えると、「偏った教科書ってのもあるんじゃないかな」と言われたら、そりゃ、ネオジオポケットみたいな例もあるわけで、「当然ありまんがな」としか答えられません。
とはいえ、概説をふたつ・みっつ読めば、だいたいの共通部分が見えると同時に、相違も見えてきて、「この辺りに注意して、読めばいいんかなー」と、宗教(学)分野特有の歩き方みたいなものが見えてくるんじゃないかと。
とりあえず、ゲハを乗り換えるように、いくつかの概説書を読んでみるのがいいんでないかと思うわけです。

掃除してたら出てきた本を中心に何冊か持ってる宗教系の本挙げてみます(※手に入れやすい本のみ)。読書の参考にどうぞ。


学部レベルの入門・一般教養講義で、教科書に使われたりしてると思います。思想的な概観というより、事例が結構豊富だった気がします。世界史的に総ざらいというわけでもなく、現代(とりわけ現代日本)に引きつけた話が多かったような。ニュースとかも結構盛り込まれてます。
この「名著30」は結構面白い。宗教学の概説本を読んだら、ここに書いてあるものにトライするのもよいかと。



フランスにおける「スカーフ論争」の印象がすごく残っています。岡真理先生の授業で、パレスチナ・ユダヤの問題、それからイスラームについて調べる中で行き遭った本のひとつ。
『棗椰子』は、岡真理先生の最初に自分が読んだ本です。『格闘する思想』はゼロ年代関連的に、一応挙げてみましたが、こっちは宗教関係ないですねーw
スカーフ論争については、こちらもどうぞ→「金明秀さんによるピエール・テヴァニアン講演報告」(Togetter)。


各宗教への入門ということで仏教についてのおすすめ本。池上彰から仕入れた知識で、ドヤ顔とかされても困るのですが、変な本よりはいいと思います。やっぱり優秀な人だなぁと。とはいえ、これが最良の入門でもないとは思います。
まぁ、悪い本じゃないですよ。買って損はありません。下の本に比べたらページも少ないし、字も大きいし、情報量も少ないので、最悪何も読まないよりはこれを読めばいいんじゃないかと。


ぶっちゃけ、仏教本としては、『わかる仏教史』を読んどきゃおっけーです。気になれば、ここから色々読んでいけばいいです。宮元啓一さんの本のサブテキストとしては、中村元さんのこれがいいかと。これも「最適のものか?」と聞かれれば、うーむと首を捻らざるを得ないのですが、とはいえやはり入手のしやすさと詳しさでもって考えれば、並ぶものがないというのが現状ではないかと。
ちなみに、中村元さんは、インド(思想)研究、仏教(思想)研究の偉い人と思えば、だいたいあってる。


ちゃっちい(?)タイトルに騙されることなかれ! これは傑作! 名著の中の名著! これだけの情報量で、しかも読ませる! 事典なのに、読み物として面白いから、入門書としてもありです。
キリスト教の派生宗教も結構扱ってます。歴史についてはもちろん、福音派辺りまでばっちり押さえている上に、宗派別の祭祀・祭礼の呼び名・振舞い方の違いまでわかりやすーくまとめてくれています。
キリスト教を知りたい方から、英文学の中で出てくるキリスト教関連の名詞がいまいちよくわからないという方まで、あらゆるニーズにお応えできる本ではないかと。

なんかもっと色々持っていた気がするのですが、部屋の奥から発掘された本はこれくらいだったのでひとまずこんなもんかなーと。

イスラームについては、関西クラスタにシェンロンさんありなので、なにも言うまい。


ある程度、知識が身につかないと、それこそ「ヒャッハー! 俺は宗教に関する該博な知識を持ってるんだぜー」とばかりに、大学二年生にありがちな大二病を発症させてしまうことになるでしょう。
まぁ、それくらいなら、冥界にいるソクラテスがそっと目をそむけるくらいで済むでしょうが、信仰者に対して無用で無根拠なバッシングや物理的な嫌がらせが行ったり、逆に「俺は蒙が啓かれたんだZE!」とばかりにオウムに突っ走るふしぎな学生になってしまったりしたら笑えないというかなんというか。

ここらで何冊か読まれまして、興味を持たれた場合にはひとつ、ルーマンの『宗教論』(私は読んでいませんが、やはり秀逸なものと聞きます)、岩波文庫で手軽に読めるオットーの『聖なるもの』、オットーを読んで面白く感じたならエリアーデの『聖と俗』なんかは楽しく読めるのではないでしょうか。
人類学方面から宗教に攻めるのもなかなか面白く、イニシエーション論で有名なヴァン・ジェネップの『通過儀礼』(岩波文庫)なんかは乙なものです。これと並べて読む本としては、大塚英志の『システムと儀式』は変化球として面白いかもしれませんが、『贈与論』(これ自体も宗教研究を含みます)で有名なマルセル・モースの共著にして名著『供犠論』が最適です(確信)
モースを読んだなら、マリノフスキーの『西太平洋の遠洋航海者』も読んでいただきたいところですが、個人的には『マリノフスキー日記』を読んで、偉大なるフィールドワーク研究者マリノフスキーのぶっちゃけた言葉の数々を見ながら、ビールでも飲んで、ゲラゲラ笑っていただきたいところですw
湊かなえの方ではなくて、アウグスティヌスの方ですが『告白』なんてのも、ぶっ飛んだ人生といくつかの箴言に出会えるものとして(ぶっちゃけ軽い自己啓発本的に)楽しめてしまうかもしれません。いやまぁ、普通あんな人生送れませんからw 個人的にはマルクス・アウレリウスの『自省録』の方が好きですが

これまた、最大の変化球なのですが、Kindleで無料の河口慧海『チベット旅行記』、中沢新一の『チベットのモーツァルト』『虹の階梯』
こういうのがキワモノだったり、変化球だったりするんだなぁと感じつつ、「ああ、あの辺りのことを言っているのね」「こう受け取れば、学ぶ所があるなぁ」「ここは時代の問題かな」「ここはスルーで」と取捨選択しながら読むためには、やっぱりそれなりの蓄積が必要なわけだなぁと思っていただければ、ここまでつらつら書いた甲斐があったというものです。
どういう変化球かわからずに、とにかく「ボール球」は「ボール」に違いないと、一切合財を「ボール」として処理しながら野球をするというのは、野球のルールを知っていて、日頃野球観戦し、たまの休みには草野球している人にとっては、かなり〈香ばしい〉事態であるとだけ知っておいてもらえればな、と。

ということで、長々お付き合いありがとうござんした。

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